官僚日記

現役若手官僚の絶叫

若手官僚のある日の一日(ver.のどかな日)

7:30、起床。眠い。あと5分と思いつつも目覚ましを叩いて体を起こす

顔を洗う。クローゼットを見るとシャツがよれよれのものしかない。近所のクリーニング屋に服を取りに行く

8:00、家に戻る。クリーニング済のシャツに袖を通す。朝食を取る時間がないのですぐに出発。今日も通勤ラッシュの中、もみくちゃにされながら通う

9:00、登庁。PCが立ち上がるまで新聞の切り抜きに目を通し、所管施策に関する言及がないか等をざっとチェック。懇意にしている先生が執筆した記事を発見するが、特にうちの役所の話はなかった

9:30、始業。午後の打ち合わせに使う資料を確認してもらうため、課長に紙で印刷したものをお見せする。書きぶりについて数箇所指摘が入り、少し議論になる。ご指摘の通りなので、自席に戻って修正作業

10:00、総務課から、他省庁が作ったX白書の原案に関する各省協議のメールが入る。我々の所管施策にダイレクトに関係する内容があるとのアラートがあったため、手元の作業を止めて該当部に目を通す。若干の事実誤認があったため、部下の職員に口頭で修正案の作成を指示

再び打ち合わせ資料の修正作業に入ろうとしたところ、今度は与党の先生から資料要求。先日公表した成果物を2部届けてほしいとのことだった。あまり日頃のお付き合いのない先生だったので、公表後の会館*1配布先一覧に入っていなかった模様。これも部下に任せる

10:30、打ち合わせ資料の修正案が完成。関係者了解となりセット版*2を送付しておく

11:00、部下の職員が要求のあった資料をお届けに会館へ出発するのと入れ替わりに某省から外線。予算要求の関係で相談事があり、こちらに来訪の上で打ち合わせをしたいとのことだった。どうやら主計局*3から出ている宿題対応とのことで、今日の午後にも話をしたいそうだ。とりあえず話を聞くだけ聞こうということで、16:00頃で手頃な会議室を予約

12:00、昼休みとなる。この日は昔お世話になった他省庁の先輩職員とランチ。今日はたまたまうちの役所に来ているとのことで、食堂で落ち合う。カレーライスの大盛りを注文。現在手がけている仕事の話を聞いたり、こちらの近況報告をしたり

13:00、打ち合わせが13:30からスタートするので資料の印刷を開始。会議室のセッティングへ向かう

13:30、局内の偉い人が一同に会して打ち合わせ。案件は内閣官房のある事務局から来ている依頼への対応方針について。総務課が局としてのおおまかな方針を示し、我々も原課*4としての対応方針を示す。幹部陣から色々と総務課方針に細々とした指摘が入るが、我々の課はほぼ無傷で終了

15:00、席に戻ると大臣用の想定問答*5の作成依頼が来ていた。ニュース番組のインタビューに出演するらしい。部下が原案を作ろうとしていたのだが、問表*6をみていると一つ厳しい問があったのでこれは自分で作ることに。課長に見せて関係部局へ合議*7をかける

夕方

16:00、某省の課長以下が来訪。予約しておいた会議室へ連れて行く。今回の予算要求のポンチ絵*8と、主計局から降りている宿題内容が書かれた1枚紙に沿って説明があった。身構えるほどの内容では全くなかったので、いったん持ち帰りつつ明日なるべく早い時間に正式な返事をすると回答

17:00、想定の合議が終了、我々の原案通りでセット。大臣レク*9は明朝の旨も合わせて課長に連絡。先程の某省との打ち合わせの概要を作成

18:00、課長と先程の某省との打ち合わせの返し方を相談。一応関係課にも相談すべきということになり、明朝に持ち越す。手が空いたので作業モノを進めておく

20:00、総務課の若者がやってきて雑談。原課業務をしたことがないまま2連続で総務課配属となってしまい、色々と苦労しているようだ。原課の仕事だって大差ないと言いつつ、総務課が色々と露払いしてくれるから原課も気持ちよく働けるんだよなどと諭す

20:30、セットとなったはずのインタビュー想定に某所から物言いがついた。軽微な内容だったので関係者に通告ベース*10で共有しておく

21:00、作業に一段落ついたので退庁。平和な日だった。帰りにコンビニでカップ麺と惣菜を購入。夕飯と家事を一通り済ませ、読書して就寝。お疲れ様でした

むすび

メルマガの読者アンケートでよくお寄せいただくので、若い役人のある一日をできるだけ詳細に書いてみました。繁忙度に応じていくつかバリエーションを作ろうと思っていて、今回は国会閉会中のとてものどかな一日を再現しました。繁忙期編はまたいずれ。

*1:議員会館のこと。衆Ⅰ、衆Ⅱ、参、などと略す

*2:最終版という意味の役所用語

*3:財務省で予算関係の仕事をしている人々

*4:実際に政策を担当する部署。総務課は窓口で、傘下の原課におおまかな方針を示したり、どこにも落ちない仕事を捌いたりする

*5:こう問われたらこう答える、という回答ぶりを整理した資料。国会答弁のほか、こういった対外発言の機会にも想定問答が作られる

*6:質問事項一覧のようなもの。ニュース番組の場合は事前に依頼紙がFAX等で届き、まずそれをもとに問表を作る。変な箇所があれば直接電話して番組サイドの真意を確認したりする

*7:「あいぎ」と読む。妙なことが書いてないか、事前に確認すること

*8:チャート等を用いて模式的に説明事項を整理した資料

*9:こういう感じで答えてください、という事前の説明、頭合わせ。大臣が実力者の場合、レクの場で答弁案が了解となってもその通り読み上げず、ご自身の言葉で喋ろうとされる方も多い。その場合、基本線だけは外すことなく、対話の流れに沿ってより良い答弁ができたりすると、答弁能力が高い大臣だ、などと評されるようだ

*10:了解を求めるためのお伺いではなく、こういう修正をしました、という旨一方的に告げること。たまに大きな修正などを時間がないからといって通告ベースでやったりするとやり方が強引すぎると言って大バッシングを浴びる

メルマガ第16~19号を配信&バックナンバー配信企画を開催

こんにちは、smizukiです。お知らせ一色になるのもどうかなということで、今度からメルマガ配信状況等の記事の頻度を落とそうと思います。ということで、今回はメルマガ第16~19号の配信に関するお知らせ記事です

9月のメルマガ配信状況

メルマガについて、8月28日付で第16号、9月10日付で第17号、9月19日付で第18号9月26日付で第19号をそれぞれ配信しました

また、第19号にてメルマガのバックナンバー配信企画の第2回を告知しました。10月7日(日)23:59までに簡単な読者アンケートを送付いただければもれなく配信します

全体を通じてコンテンツ構成は大きくは変わってませんが、公共経営ラボでは、それぞれの号で以下のテーマを扱いました

  • 第16号:外形標準課税の是非
  • 第17号:地域包括ケアのビジョン
  • 第18号:国家公務員の天下り改革

素敵なご投稿をみなさまどうもありがとうございました!

この企画、所管や普段の業務分野を離れて手広く議論しているので、やっている側としても毎回とても勉強になることばかりで、やっている自分が一番楽しんでます

今後とものんびりやっていければと考えているので、引き続きどうぞよろしくお願いします

関連リンク

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メルマガ第15号を配信しました

 

8月20日付でメルマガの第15号を配信しました

今回のコンテンツはこんな感じです

[1]今週のニュースクリップ
- 入国管理庁発足へ
- サマータイム導入?
- 障害者雇用 複数省庁で水増し
[2]公共経営ラボ
- 製造業を支援するには?
- ラボ事務局のコメント
- 投稿募集
[3]官僚女子の落とし方(1)
[4]対話コーナー
- 国会閉会中は何してる?
- バックナンバーを読みたい

第15号概要

公共経営ラボの2回目の投稿を紹介しました。こちらの記事もあわせてご覧ください

smizuki.hatenadiary.com

また、やわらか連載企画「官僚男子の落とし方」の女子編をスタートさせました。最近おちゃらけ要素が少なめなのでなんとか頑張っていきます〜

対話コーナーはお寄せいただいているメールへのお返事という形で、国会が閉じてる間何してるの?という疑問におこたえしました。あとバックナンバーの配信に関する現時点での方針についても書きました

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製造業の課題:政策支援が空洞化を招く矛盾を克服するには

メルマガで募集している読者投稿企画「公共経営ラボ」に、日本のメーカーの支援策に関する投稿*1がありました。ということで、前回と同じく自分の考えをここにまとめておきます。投稿内容の全文とそれに対する公共経営ラボ事務局の見解はこれから配信予定のメルマガ第15号に掲載しますのでそちらをご覧ください

問題の所在:競争を支援するほど空洞化が進むジレンマ

今回の投稿では、日本の製造業(特に家電)が存在感を失っているので何か国として支援できることはないのか、という問題提起がありました

まず現状認識として、日本のメーカーが存在感を失っているというのは事実です。後述しますが、日本がこれまで得意としてきたハイエンド領域にも低価格路線のメーカーたちが参戦してきた結果、どんどん日本のプレゼンスが低下しているというのはニュース番組や新聞報道でもよく目にされると思います

ファクトとして、下図のとおり名目GDPに占める製造業全体(左目盛)、電子機械業(右目盛)のシェアは長期的に見ればずっと減ってます*2

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行政としてもなんとか日本のものづくりは支えていきたいところ。色んな支援策が考えられます

そこで、問題の所在はどこにあるかと言うと、

国がグローバルで戦えるようにメーカーの競争を支援すればするほど、彼らがもたらすはずだった経済的果実が国外に流出してしまう

というコンフリクトにあります

民間の利益最大化=国の最適解とならない

企業の利益はどこまで行っても売上-コストで、売上のトップラインを上げつつコストをカットさせたいというのは、競争の当事者である企業も我々行政*3も変わりません

これをさらに分解していくには人によって本当に様々な切り口があると思いますが、ここでは以下のようにざっくり分解してみましょう

  • 売上=販売数量(=国内販売+海外販売)×価格
  • コスト=売上原価+販管費+税金

もともと日本は、特に家電は高価格帯で強みをもっていたので、価格はこれ以上上げられないぞとなると、人口減少に伴う国内需要シュリンクとあいまって、売上についてはもう海外向けの売上数量を引き上げるという選択肢しかありません。よく言われていることですね

海外需要を開拓するんなら、合わせて生産拠点も向こうに移して現地のニーズに素早く対応できるようにしたほうが良いなとなります。ましてや向こうのほうが人件費も安いので、まずは上流工程だけでも移そうとなると、がくっと売上原価(労務費)が減るわけです。どうせならということでどんどん現地人を雇用していくと、販管費(人件費)まで減ってくる

こうなるとメーカー各社にとっては売上にもコストにも効く海外進出という手を打たない理由がないわけです

当然行政サイドも海外進出をバックアップしたいはずなんですが、問題は、生産拠点が向こうに行ってしまうと税を取りこぼすばかりか、国内の周辺産業までもがダメージを食らう*4ことになるので、両手を挙げて強力支援というわけにはいかない、という構造にあります

行政に何ができるのか

さて、ここまで当たり前のことを書いてきましたが、こうしたコンフリクトの中で行政にできることはないのでしょうか

一つ、売上とコストの式の中で触れなかった「税金」は、現状ではほとんど唯一と言って良い有効な政策ツールと言えるでしょう。また、(やや非連続的ですみませんが、)国内販売にも海外販売にも効く可能性のある魅力的な新製品の投入は行政サイドにも支援の余地が残されています

具体的にどういうことか、次号のメルマガで書きたいと思います

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*1:メルマガ第13号でも取り上げさせていただきましたが、ピーターサム様、重ね重ねありがとうございます

*2:当たり前といえば当たり前ですが、かわりに増えてるのは「保健衛生・社会事業」のような社会保障色の強い産業です

*3:基本的に利益に税金がかかるからです

*4:例えば工場に勤務していた人が海外へいなくなると、彼らに毎昼弁当を提供していたお弁当屋さんが困ります。お弁当屋さんは食品加工工場で生産されたちくわをおかずに入れていたので、加工工場の売上も減ります。加工工場の売上が減ると、ちくわの原材料である魚の仕入先である水産業の漁師さんが困ります

メルマガ第14号&最近のツイート

8月7日付でメルマガの第14号を配信しました

今回のコンテンツはこんな感じです

[1]今週のニュースクリップ
- 厚労省分割?
- 東京医大 女子受験者一律減点
[2]公共経営ラボ
[3]官僚男子の落とし方(5)
[4]対話コーナー

第14号概要

ニュースクリップは、東京医大の女子一律減点問題を取り上げました。すぐに離職するから、という理由だったようですが、女性が増えたことで官庁内でどういった変化があったか、主に人事面と絡めて簡単に議論しています

連載企画「官僚男子の落とし方」は第5回。この企画は今回で最後として、次回からは予告通り女子編をやります

いつもよりボリューム少なめですみませんが、今回は女性の話とか官庁訪問のリアルとか色々と際どいことまで踏み込んだのでご勘弁を;

今週のツイート

東京医大の話とか、同僚と飲んでたら人事オタクがうざかった話とか

 最後に

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メルマガ第12号&第13号&最近のツイート

7月24日付でメルマガの第12号を、7月31日付でメルマガの第13号を配信しました

今回のコンテンツはこんな感じです

第12号

[1]今週のニュースクリップ
- 児童福祉司4年で2000人増へ
- 訪日外国人 上半期過去最多
- 猛暑経済成長押し上げ
- 自民 学校にエアコン設置要望
- 自民 政調の改革案策定
[2]身の回りの話
- 異動の希望は叶うのか
[3]公共経営ラボ
[4]連載:官僚男子の落とし方(4)
[5]対話コーナー

第13号

[1]今週のニュースクリップ
- 文科省局長逮捕 霞が関騒然
- 国家公務員定年延長?
- 自民党議員LGBT発言に猛批判
[2]身の回りの話
- 職場内カップルが多すぎる
[3]公共経営ラボ
- 待機児童と保育士の待遇改善
- ラボ事務局のコメント
- 投稿募集

メルマガ第12号概要

ちょっとニュース多めです。役所の取りまとめシーズンが一周しそうというのと、政治の方でも総裁選にからめて色々と動きがあったので。本当はもうちょっと取り上げたいんですが手が回りません、、

身の回りの話は、夏の異動ラッシュということで、若手の異動希望が叶うのかどうかというテーマを取り上げてます

官僚男子の落とし方は4回目。具体的にどんな話をすると信頼関係が作りやすいのか、トーク内容について触れてます。気が向いたら実際のトークスクリプトもアップしたいと思います

メルマガ第13号概要

公共経営ラボに待望の初投稿がありましたので、そちらに力を入れました。なので連載企画「官僚男子の落とし方」と「対話コーナー」はお休みしてます。すみません

投稿の内容が保育の受け皿整備関係だったので、第13号ご覧になる際はぜひこちらの記事もあわせて読んでもらえると

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以上、引き続きご愛顧くださいませ

最近の主なツイート

秘書課への憤り的ななにかを吐き出したりしました

この他にも色々つぶやきました。それにしても書きたいことの多さと時間が見合わん

最後に

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保育の受け皿を増やすには:地方を責任主体にし、権限を移譲すべき

以前からメルマガで募集していた読者投稿企画「公共経営ラボ」に、保育の受け皿整備に関する骨太な投稿*1があったので、自分の考えもここにまとめておこうと思います。投稿内容の全文とそれに対する公共経営ラボ事務局の見解はこれから配信予定のメルマガ第13号に掲載しますのでそちらをご覧ください

目次

問題の所在:保育の受け皿が足りないのはなぜか

今回の投稿では、保育の受け皿をもっと拡充するにはどうすればよいのか、という問題提起がありました。保育の受け皿が足りずに待機児童が発生している背景には色々な要因が挙げられると思いますが、根本を突き詰めると、「行政側の責任の所在が不明確だから」という一言に尽きるのではないかと考えています

待機児童は都市圏に集中

まず、保育所がどういった場所で不足しているのかを見ていきましょう

以下のマップは厚労省が公表している都道府県別の待機児童数*2に関するもので、色が赤に近いほど保育所が不足している地域ということになります

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一目瞭然ですが、待機児童は、東京都を中心とする首都圏と大阪近辺というごくごく一部の地域にのみ偏っていることがわかりますね。つまり、待機児童問題は本来、どちらかと言うと国全体と言うより特定地域における問題なんです

地方が地方の問題として引き受けられるように

今は国の方で少し大きく取り上げられすぎている感がありますが、まさに問題の根本はここにあると思っています。国が作った子育て安心プランの中で32万人の保育の受け皿整備が打ち出され、その数値的根拠があやふや(潜在ニーズが入っていない、等)だという議論が起こったことがあるのですが、本当は潜在ニーズまで含めて一番理解している地方じゃなきゃきちんとした数字なんて出しようがないのでは?と思います

それなのに、実態を把握しきれるはずもない国が国の問題として引き受けすぎるがゆえに、責任の所在が曖昧になっている、というのが保育の受け皿整備問題の根本原因です

解決策:問題を抱える地方が主体になれる仕組みが必要

したがって、保育の受け皿整備は問題を抱える地方が主体となって取り組んでいくことが重要です。そのかわり、ある程度保育所関係の規制を緩和するか、思い切って地方の責任のもとで自由にルールを作ってもらった上で、財源問題も含めて引き受けてもらうべきでしょう

一定のルール作りはどんどん地方に任せるべき

具体的な権限の移譲の方法ですが、保育所関係に絞ってみても、全国一律で適用する意味がどこにあるのか?と疑問視されている細かい規制は実はたくさんあります

例えば、ある保育所がよその保育所から児童を受け入れて保育する共同保育は土曜日しか認められていません。保育所一箇所あたりの児童数が少なくなるGWなどの大型連休シーズンにも合わせて共同保育を実施できるよう規制緩和すれば、激務な保育士さんたちもまとまったお休みが取りやすくなり、待遇改善につながりますよね

正直、この規制に何の意味があるのかさっぱりわかりませんし、他にもナンセンスだなと思う規制はわんさかあります。この手のルール作りは、現場を誰よりも熟知している地方にガンガン委ねていくべきです

保育所のビジネスモデルに起因する財源問題

次に財源ですが、そもそもなぜ大都市圏でばかり待機児童問題が発生するのかと言うと、端的に言えばたいして儲からないからです。以下、東洋経済から引用します*3

経営に携わると、大都市圏で保育所が不足する理由は簡単にわかります。場所を食う割には儲からない、言い換えれば土地生産性が低すぎるのです。

そもそも保育所には、国の基準を満たす認可保育所と、その基準を満たさない認可外保育所(無認可と呼ばれることもあります)の2種類があります。認可保育所の場合、0歳児(≒育休明け)には1人当たり3.3平方メートル、子ども3人に1人の保育士が必要です。これを確保しようと思うと、10階建ての保育所ができるならともかく、民間企業が参入しようと思っても採算がとれません。

もちろん、参入してくる企業はあります。どうするかというと、基本的には人件費を削るケースが多く見られます。時給1000円ほどで保育士の資格を持たない人をたくさん雇うのですが、結果として、子どもを連れて行くと、担当の保育者が替わっていたとか、公設民営で年度が替わると別の業者になっていた、といったことが起きます。

「そんなら、補助金増やせよ」と思われるかもしれませんが、若者や子育て世代の投票率が高齢層に比べて著しく低いために、政治家は高齢者をより重視します。福祉の予算を高齢者から割いて、子育て関係に回すのは至難の業なのです。

言い換えると、同じ土地に保育所を建てて補助金に頼るくらいならもっと違う土地の使い方をしたほうが合理的だ、という発想ですね

なので、引用した記事の最後のパラグラフにもある通り、最後は補助金を増やすしかないというのはその通り。権限移譲とセットで財源問題が振り付けられる場合、多くの自治体で頭を悩ませるのはこの保育所特有のビジネス構造でしょう

国の関与を減らすことで生まれるインセンティブがある

これに対しては明確な回答があるわけではありませんが、地方行財政改革にはまだまだやれることがたくさんある、というのは事実かと思います

また別の記事で書きますが、もっと効率的な行政を進めていくことで、子育て予算を増やせる余地は自治体側にもあるのです。そこで捻出した予算を保育所に回し、保育のキャパシティを増やしていくわけです。そもそもそこまで追い込まれなければ地方側だって本気になんかなりませんよ、、

いつぞやも書きましたが、しょせん国の仕事というのはあまねく2,000の基礎自治体の取りまとめに過ぎません

彼らに届かない実効性のないルールは撤廃して、彼らの責任のもとに問題解決にあたるべきです

*1:今回が初投稿になります。ピーターサム様、大変ロジカルで貴重なご提言をありがとうございます

*2:厚生労働省保育所関連状況取りまとめ」(資料4)
平成29年4月1日全国待機児童マップ(都道府県別)より。以下URL参照

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000176121.pdf

*3:東洋経済保育所は、なぜ需要があるのに増えないのか?」

https://toyokeizai.net/articles/-/33576?page=2