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官僚日記

理想の女、理想の政策

財務省との戦い

俺は財務出身じゃないが、まあはたから見ていてもやつらは強い。個々の人材の厚みはもちろん、よく統率された組織全体のパワーもあり、そして各省の個別予算を全て握る省としての格もやはり頭一つ抜けている

某日、とある政策のとりまとめにあたって財務協議が本格化しだした頃、見知らぬ顔の連中がドスドスと足音を立てて執務室内に乗り込んできた。なにやらうちの課長と打合せのようだ。パーティションで区切られた打合せスペースからは、開口一番「てめえ、何考えてやがんだ!」の怒鳴り声。うちの課が財務をすっ飛ばして中間報告を公表してしまったことに相当ご立腹のようだった。別にうちの省がどんな報告出そうがカンケーねえだろうと俺は思っていた

その日、俺は課長と連れ立って馴染みのバーへ行った

「俺は間違ってないと思うんです。あいつらがなんと言おうがうちはうち、この件に関してはあいつらがごちゃごちゃ言おうがうちが主導権とって回していくべきだし、やつらとは戦わないといけないと思います」

「無茶言うなよ。今も昔も、あいつらとがっぷり四つで戦って勝てる省庁なんてない。なんとか引き分けられれば御の字だろう」

課長はしんみりとマッカランをあおった。財務との協議の最前線に立ってひとり戦う課長の言葉を前に俺はそれ以上何も言えなかった

その件は以降も財務と揉めに揉め、結局は5分5分の内容で最終成果物が公表され幕を閉じた。局全体で力を入れていた思い入れの強かった政策だけに、えも言われぬもやもやだけが俺の中に残った